序章:その一言が、自分を傷つけていたかもしれない
「言いたくないのに、つい言ってしまう」
「聞きたくないのに、なぜか盛り上がってしまう」
そう、それが“悪口”。
日常の会話の中で、知らず知らずのうちに口をついて出るその一言が、
実は自分の人生を鈍らせていることに、あなたは気づいていますか?
今回、筆者が試みたのは、“悪口を一切言わない1週間チャレンジ”。
やってみて分かったのは、これはただの道徳的な訓練ではなく、
自分を取り戻すための“デジタルデトックス級”の体験だった、ということ。
Day1:沈黙と気まずさのはじまり
初日、驚くほど口数が減った。
「この上司、まじで…あっ、ダメだ」
「てか、あの人のSNS見た?なんか…いや、やめよう」
**悪口を抜くと、話の9割が消えるんじゃないか?**と思うほど、言葉に詰まる。
この時、ようやく自覚する。
日常会話の中に、どれだけ“他人の短所”をネタにしていたかを。
Day2:無口になったら、世界が静かになった
「なんか今日、元気ない?」と何人にも言われる。
でも実際は、“悪口を言えない”というだけで、自分の脳が一種の静寂モードに入っている感じ。
情報も減り、感情の波も減り、なんだか落ち着く。
ふと、自分の呼吸が深くなっていることに気づく。
Day3:悪口は“安心感”のためのツールだった?
このあたりで、あることに気づく。
人の悪口を共有するって、「自分たちは同じ側だよね」という確認作業だったんじゃないか?
たとえば「〇〇さんって空気読めないよね〜」と言い合うことで、
「私たちはちゃんと読めてるよね」という無言の“連帯”が生まれていた。
でも、そうやって得る“仲間”って、本当に健康的?
Day4:他人ではなく、自分を語りはじめた日
悪口が使えないと、話題がだんだん**“自己開示”**に変わる。
「最近、朝がしんどくてさ」
「子育てでつらいとき、どうしてる?」
共感されたい気持ちを、誰かの悪口じゃなくて自分の弱さで伝えられるようになってきた。
この日から、なんだか人との距離感が“近くて優しい”ものになった気がする。
Day5:脳が軽くなる。不思議な現象
なぜか、寝つきが良くなる。
なぜか、集中力が増してくる。
なぜか、やるべきことがスムーズに進む。
これって、“他人の評価”という名の雑音が減ったから?
「誰がどう思うか」ではなく「自分がどうしたいか」に、思考がシンプルに集中し始めた。
Day6:悪口を言わなくなると、聞き役になった
誰かが誰かの悪口を言っていても、乗らずに静かに聞いていると、
相手が急に「なんかごめん、こんなこと言って」って言ってくる。
空気が変わるのだ。
その瞬間、自分が人間関係の“流れ”を変える力を持っていると実感する。
Day7:私が変わったことで、周りの空気も変わっていた
最終日、同僚に言われた。
「最近、なんか穏やかだよね」
「話してて楽になれる」
そう、これはただの“悪口禁止”ではなかった。
周囲との関係性そのものを、優しく編み直すチャレンジだった。
結論:悪口をやめるのは「相手のため」じゃなく「自分のため」
「言わない」ことで守ったのは、相手の名誉だけじゃなかった。
それ以上に守られていたのは、自分の心の清潔さ、感情の平穏、そして脳の余白だった。
これからも続けたい。
100%は無理でも、「あっ、いま悪口に手を出しそう」と気づける心でいたい。
そう思えるようになった、価値ある1週間でした。