■「最新」って、本当に必要?
SNSのタイムラインを眺めていると、日々新しいトレンドが生まれては消えていく。Z世代の流行語、TikTokでバズったメイク、Netflixの新作、ワークマン女子、スムージーにMCTオイル……。
正直な話をしよう。
――私は、疲れていた。
追いかけるたびに財布は軽くなり、心には「置いていかれる焦燥感」ばかりが残る。気づけば、トレンドという名の波に溺れ、自分という芯が見えなくなっていた。
ある日、ふとこう思った。
「流行に“無理して”ついていくの、やめてみようかな」と。
■やめてみたら、“私”が見えた
やめたのは、ごく小さなことからだった。
- 毎月発売されるファッション雑誌を買うのをやめた
- 「流行色」を意識して服を選ぶのをやめた
- 美容アイテムを“話題だから”という理由だけで買うのをやめた
- SNSで「今これがアツい!」を見ても、スルーする力を持った
それはまるで、背負っていた見えないリュックを下ろすような感覚だった。
私の暮らしには、本当に必要なものがちゃんとあったのだ。
たとえば、10年着ているグレーのカーディガン。
祖母から譲られた陶器の湯のみ。
流行りの音楽じゃなくても、心がふわっと温かくなる90年代のバラード。
どれも、「他人に自慢できるようなもの」ではない。
でも、「私を私に戻してくれるもの」だった。
■流行は、ライバルじゃない
勘違いしないでほしい。
私は、流行そのものを否定しているわけじゃない。
音楽も、ファッションも、エンタメも、新しい風は世界を鮮やかにしてくれる。
でも、それを「自分の軸なしに盲目的に追いかける」と、人生が摩耗してしまう。
他人と比べるために選んだモノやコトは、たいてい心に残らない。
大切なのは、「選ぶ力」だ。
流行の中から「自分に合うもの」だけを選び、
「自分に合わないもの」は、胸を張ってスルーする。
これは、情報洪水の時代を生き抜く一つの“ライフスキル”だと私は感じている。
■やめたからこそ、手に入ったもの
流行に無理してついていくのをやめたら、こんな変化があった。
- 「比較」が減った
- 「買わなきゃ」が減った
- 「自分の好き」に素直になれた
- 「空白の時間」が増えて、本が読めるようになった
- 「暮らしの満足度」がなぜか上がった
不思議なことに、何も新しいモノを手に入れていないのに、心が満たされていく。
“流行の最前線”よりも、“自分の今この瞬間”を愛せるようになったのだ。
■結論:流行は「乗る」ものではなく「見る」ものでいい
「流行に乗らなきゃ、置いていかれる」
そんな時代はもう終わっている。
今や“情報選択”のセンスこそが問われる時代。
流行の海をサーフィンするより、砂浜でゆっくり風を感じることのほうが、自分を取り戻すきっかけになるかもしれない。
そして、あなたの生き方そのものが、いつか誰かの「流行」になるかもしれない。